スレイヤーズ感想記
UserCustom
NEXT感想記第24回「邪悪なる罠!幻の死霊都市!」
2004年07月19日 (月)20:00
rel_0086.jpg 500×300 69K
 原作でシルフィールは5日間このサイラーグで過ごしている。
 その時のことは余り語られていない。
 ただ、幻に多少惑わされたとだけ……。

 さて、アニメ感想記も残すところ3話。
 まず、冒頭では前回仮面が剥がれてガウリイが現れたところの続きでした。

シルフィール「ガウリイさまーっ!」
リナ「ダメよ、完全に操られているわ。」

 駆け寄るシルフィールと制すリナ。さすがに、リナは飛び込んではいかないか…。と思いきや、フィブリゾが「ネタがばれたんじゃ仕方が無いね。」と言ってガウリイを連れ去るその瞬間

リナ「ガウリイーーーっ!」

と飛び込んでいきました。
 あっさりとガウリイが連れて行かれたのは拍子抜けでしたが、リナがたまらず飛び込んでいく様は結構好きです。

ザングルス「するってぇと何か。冥王フィブリゾって奴はガウリイを攫われちまったってわけか。」
ゼル「ああ。その上、あのように操り人形にされてしまったらしいな。」
アメリア「人質に取っただけでなく、ガウリイさんの正義に燃える心まで操るだなんて!あのフィブリゾって奴はどこまで卑怯なのよっ!」
 いやいや、アメリア。ガウリイが正義に燃えていたとは思えないよ…。
ザングルス「しかしなんでガウリイなんぞを人質になんて取ったんだ?相手がそれほどの大物なら、お前たちの命を取ることなんぞ容易いことだろうに。」
アメリア「それは……。」
リナ「アイツの狙いはこのあたし。…あたしにあることをさせたがっているのよ。」
ザングルス「ガウリイの命を引き換えにして…か?」
リナ「…………。」
リナ「一つ言えるのは、フィブリゾの思い通りになるのは気に食わないってこと。別に無理してついて来なくてもいいのよ。ザングルスは事件の当事者ってわけじゃないんだから。」
ザングルス「ふん。当然お前さん方と一緒に行く気はないさ。」
アメリア「えーー。一緒に戦ってくれないんですか?」
ザングルス「俺はもう一度ガウリイと決着をつける。それを邪魔するものは全て斬る。ただそれだけさ。」
ザングルス「それに俺は”団体行動”って奴が苦手でね…。勝手にやらせてもらうさ。」

 いやぁ、ははっは。ザングルス。無印であれだけヴルムグンとつるんでいたとは思えない台詞ですね。わざと?わざとなんでしょうか?このザングルスのかっこつけようは…。無印とのギャップがさらにザングルスを可笑しくみせます。まるでポジション・ゼルじゃないですか。
 そんなザングルスに心ときめかすマルチナ。

マルチナ「ニヒルでかっこいい人。あっ、あの折れ曲がった帽子といい、マントもいいセンスしてるし…。」
アメリア「前から思ってましたけど、あの人のセンスって。」
ゼル「ほっとけ。」

 やっぱりこのギャグがやりたくってザングルスは2枚目を気取ってるのでは…。
 そんなわけで、スナフキン帽子にポンチョ、これで原案が原作2巻に登場するロッドだったらどうしよう…というザングルスに惚れたマルチナ。
 確かにお似合いかもしれないな…。

 さて、ここからが今回の見所、死霊都市サイラーグです。
 原作でも印象的なこの都市。前のコピーレゾとの戦いとは、また違う趣きでした。…ところで、アニメではサイラーグ、半壊しただけだったと思いますが……あっ、その話はしてはなりませんか。もみ消されてしまいましたか…。それはすみませんでした。

 サイラーグに半ば潜り込むリナ一行。サイラーグに行く時は、なぜかこそこそしているアニメスレイヤーズです。
 街の中は至って普通ですが…シルフィールはあることをつぶやきます。

シルフィール「これは…新しく出来た街ではありません。」

 そういって自分が昔、背を測るのに使っていた木の傷をみせるシルフィール。子供の頃のシルフィールが回想され、父であるエルクの姿が見えます。
ゼル「バカな!この街はコピーレゾとの戦いで……!」
 懐かしい無印のテロップが流れ…、あの時のシルフィールの狼狽振りが浮き彫りになります。
 故郷を失ったシルフィールの嘆きぶりは、あれほど軽いノリだった無印の中で、ひたすら重い場面でした。エルクさんの「うわーーっ!」というシーンは無印中には無かったはずですが…付け加えられたのでしょうか。

「…シルフィール?」

 後の声を聞いて、硬直するシルフィール。……まさか、そんなはずはない…。肩を震わせるシルフィールの演技がとてもいい感じです。
シルフィール「お父様?」
エルク「シルフィール。」
 一瞬、呆然と固まってから、不安げに駆け寄るシルフィール。
シルフィール「ご無事だったんですね?わたくし、てっきりあの時……」

 そんなわけ、あるはずないじゃない。誰もがそう思っているだろうこの時、シルフィールの言った台詞はなんともちんけで…安っぽい期待だろう……。
 でも、実際、あのシルフィールがこんなことしか言えない……という事実が痛さを感じさせます。

 シルフィールの父親、エルクの家に行くリナたち。そこで知らされたのは、この街にいるもの全てが冥王フィブリゾによってかりそめの命をもらった存在にすぎないという事実だった。
 シルフィールにとっちゃ、父親が本当に死んだと言う事実と、むやみに命を与えられてフィブリゾにもてあそばれていると言うダブルショックを食らわされたわけである。
 原作で、シルフィールはそのことに気づいている節があるが、5日間、このサイラーグに留まっている。幽霊というには余りにも自己意識が無い、ガウリイの操り人形と変わりない父親の姿を見て…シルフィールは何を思ったのだろうか。

 まったくの余談なんですが、私の中でこの時シルフィールが父親の手に引っ張られて心臓が動いてないことを知るシーン。TRY8話の「俺の乳吸え」シーンと対なす「俺の乳揉め」シーンに見えなくもないんですが……ああっ!ごめんなさいっ。すみません、邪な考えでした!

 場面はかわってBパート。流れてくる音楽は無印の「Determination」。なっ…懐かしい。まあ、この音楽は登場回数こそ少ないものの、TRYでも使われている曲で珍しくはないんですが…。
 でもそれにしても、この回から音楽がすごいんですよね。いくら…TRYが始まるからって24話から26話までで、サントラ1枚を形成するほどBGMを作るなんて…豪華すぎですよ…。よく音楽事情は知りませんが。
 この回からすでに最終話用の新しいBGMが取り込まれており、特にすごいのが25話、26話。ドラグ・スレイブの詠唱などの、いつも使われているBGMはそのままなんですが、それ以外はすべて新しいBGM。しかも、場面に合わせて曲を作るように指定されていて、画面の盛り上がりと曲の盛り上がりが一致するように計らわれています。
 その見事なつながりは、テレビというより映画ですよ。ひっきりなしに音楽がつづくんですもん。

 この音楽効果はすさまじいもので、だからNEXTの24話〜26話は特別なんですよね。…ちなみに、この音楽はTRYのクライマックスでも同様です。
 無印から比べたら、えらいお金使っています…。ほんと、視聴者が増えるかどうかでこんなにクオリティーに差が出るなんて…。もう少しアニメも認められてもバチあたんないと思うんですけどねー…。

 そんなサントラ効果を発揮する序盤のこの回。先ほどにも言ったように新しいBGMも作られていますが、それより気になるのが、無印時のBGMの多さ。「Determination」の他にも無印の時しか流れなかった音楽が使われています。(リナが子供を刺してしまった時の曲です)
 すごいなぁ、まさに無印のサイラーグを思い出すこの回に相応しいじゃありませんか。わざと…無印時の曲を使っていると、私は思っていますから。
 音楽も、無印時―ややロック調(エレキギターなども入る)、NEXT―フル・オーケストラ、TRY―オケ&コーラスって別れてるから、わかりやすいです。
 アニメの重さは、1に映像なんですが、次くらいに音楽が入ると私は思っています。TRYでコーラスを入れたのは、神話の世界感を出す為だと思うのですが、それが見事にはまっていて、TRYは重いんですよね。
 皆様も一度、BGMも聞いて楽しんでみてはいかがでしょうか。

 ええと、長く腰を折ってしまいましたが話を元に戻します。
 冥王宮へ近づくリナたち。例の空間がねじれた扉に入る場面です。ドラグ・スレイブをぶっぱなそうとするリナ。そこへその扉が出現します。
 やっぱりアニメだとわかりやすい…というか動くと楽しい場面ですね。アメリアの手がひょこひょこ出る様がとても面白い。

 リナはあっさり入るのを諦め、夜を待ちます。そして、夜、暗闇に紛れ、ゼルやアメリアから離れ、一人フィブリゾの神殿へ…。
リナ「みんな…悪いけど……。」
 そんなリナに気がついたシルフィールは、一人リナを追いかけます。

リナ「もともと、ガウリイが攫われたのはあたしが原因だし。……みんなをこれ以上、危険な目にあわせるわけにはいかないしね。」
シルフィール「でも、それは…」
リナ「フィブリゾは、今まで戦ってきた敵とは段違いの力を持っているわ。あのコピーレゾやザナッファーなんて足元にも及ばないくらい……。悪いけど、そんな相手とやりあえるのはあたしだけ。
……だから、あたしは一人で行くの。」
シルフィール「…アメリアさんやゼルガディスさんが後で知ったら、怒りますよ。」
リナ「生きて帰って来れたら、いくらでも怒られてあげるわよ。まっ、そーゆーわけだから、シルフィールも――」
シルフィール「お供します。わたくしは、一緒に行かせてもらいます。」
リナ「ちょっちょっと、シルフィールっ!?」
シルフィール「…わたくし、許せないんです。ガウリイ様のこともそうですけど、このサイラーグの街を好き勝手に操っているフィブリゾが…。生きてるはずがないとわかっていても、ああしてお父様が『お帰りなさい』って言ってくれた…。あの日、戦いにまみれて死んだってことの方が嘘なんじゃないかって思えて…。ずるいですよね?」
 ぽろっと涙をこぼすシルフィール
シルフィール「あらっ…わたくし…。ごめんなさい。とにかく、死者を冒涜するフィブリゾをこのままにはしておけません。ガツンといっぱつ食らわせてやらなきゃ!」
リナ「……しゃーないな。そのかわり、無事に帰ってこれるって保証は、これっぽっちもないんだからね。」

 好きなんですよね。この場面。原作を補うこのNEXT。シルフィールのこの言葉は、彼女の強さと、そして失ったものへの悲しみがよく伝わってきます。無印で、成長したシルフィールですが、やっと彼女らしくなったというか…原作よりも精神面が幼かったシルフィールが、原作に近づいた瞬間だと思います。
 そして、駆け出す二人。
リナ「そーいや、コピーレゾとの戦いの時も、こうして二人で走ったっけね。」
 懐かしいな、この二人の後姿。この二人のタッグは、見ていてハラハラするんですが(主にガウリイの言葉がでてくると…)精神面でのライバルと言う意味でとても好きな組み合わせです。

 さて、ここでフィブリゾが第2に仕掛けてきたもの。それは、夜中になると民衆が襲い掛かると言う罠。
 うおー、なんだか死霊都市っぽい!アニメらしい展開ですが、これはこれでいいと思います。イラストはここをモデルにしています。生気無い民衆が陳腐な武器を手に襲い掛かる。シルフィールは…手出しできないでしょう。だって、近所のおばさんたち、見知った顔も数多くいたでしょうから…。
 ですが、リナが子供を刺した時、一生懸命止めたのがシルフィールでした。

シルフィール「あの子はずっと前に死んでいたんです!」

 その台詞を彼女が言うのに、どれほどの痛みを伴ったか…。察するだけで辛い。

 しかし、その後ザングルスが強行突破を果たし、リナ・シルフィール・ザングルスはフィブリゾの神殿に。アメリア・ゼル・マルチナは街で民衆と対峙。
 ラグナ・ブレードによって道を開いたリナは、そのまま神殿へと入っていきます。

 さて!メインディッシュの時間です!というわけで続きます。

NEXT感想記第23回「脅威の魔剣士!再会の旅路!」
2004年07月03日 (土)20:00
rel_0078.jpg 500×300 89K
*初っ端からガウリナです!
*いろいろ、突っ込んでいますが、この回、NEXTでも私が最大に好きな回です。

「なんだ。子供かぁ。どんぐり眼のぺちゃぱいのチビのガキじゃないか。」
「あのドラグスレイブを使える魔道士さんを子ども扱いしたら、どんな罰を食らうかわからないからな。」
「ま、オレはお前の保護者だから。」
「お前なぁ。オレがどんな気持ちだったか少しは……。」
「そーだな。一生か?」
「……リナ……。」

 頬が濡れていた。どうやら泣いていたらしい。

 と、いうわけで!原作、アニメ、マンガ共にあったガウリイが攫われた後の朝――から始まる今回の感想記!
 やはり一押しのガウリナシーンですなぁ。メディアによってこのシーンはところどころ違うのですが、やはりアニメの活躍と言えば、このリナが見た夢の具現化でしょう。
 原作では、なんの夢をみたか、リナは覚えてませんでしたから…。
 アニメを追ってみると無印、NEXT関わりなく登場している台詞で面白いです。ひそかに無印の時のガウリイの甲冑が見れるのもツボ……。
 
 さて、夢から覚めたリナは窓を開け、顔を拭きます。そこで言う台詞が

リナ「犬も三日飼えば情が移る――か。」

 うわぁぁあん。この台詞は、ガウリナの代名詞じゃないか!?と思うほどツボを付いて来ます。いやぁ、まさにその通りだと思うんですよ…。ガウリイとリナは、思春期の頃の青臭い恋愛(ゼルアメなんかそうじゃありませんか?)とかそんなんじゃなく、「ただ一緒にいる」という家族的な情があるんじゃないかと私は思うのです。
 リナとガウリイはだからラブコメシーンなんか本当はいらないんじゃないかと思います。ただ側にいるだけでそれ以上でもなく、ドキドキ胸が高鳴ったり、相手の行動が気になったりという、他人との距離を測る事もせず、ただ一緒に歩いているだけで、なんとなく二人の感覚がわかる。
 そんなガウリナを念頭においてきた私としては、この台詞はまさにぴたりと当てはまるものなんですよね。私だけかもしれませんが。

リナ「ま、無理も無いか。ガウリイと会って一年半。一緒に魔王も倒したし、コピーレゾも倒したし。劇団で芝居もしたし…人形被って、女装して……人の3人前くらいの事件……潜り抜けてきたんだもんね。」
リナ「なんか、一緒にいることに妙に馴染んじゃったのかな。……ただ、ガウリイがいないってのが……こんなに体の横がスースーするものだとは思わなかった。」
 ポタリと涙が落ちてくる。
リナ「……あれ?……あれ?……ひっく……くっ……うぅ……。」

 無印のことばっかりじゃん、と突っ込むなかれ……。
 私の中で、アニメの朝もよく出来ているなぁと思うのは、「体の横がスースー」という台詞回しと、声を押し殺して泣くリナが、よくできているからだと思うんです。
 原作でリナが泣くのはもう少し後ですし、これまでリナは涙を人に見せなかったわけですが、アニメでたとえ感情を出す為に泣いたとしても、声を押し殺して泣くのがリナなんですよね。
 誰に隠してるの?何の為に押し殺すの?
 口の中が何か物でも詰まったみたいにこわばって、痛くてにがい。
 そんな堪え涙が、この少女と言える年代のリナにすごく合っていて、今でも誰もが思い出すような、そんな少女期の涙なんですよね。
 いや、私だけじゃないと思うんですよ。何か大声で泣けない、本当に自分が苦しくて、でも認めたくなくて、見られたくなくて、押し殺しても漏れてしまう……そんな涙を流したことが、誰にでも一度はあるんじゃないかと。

 これを見てた中学2年生の当時の私は、それこそなんのためらいも無くリナの押し殺した涙の意味を理解してましたけど、あれから何年も経っちゃうと、そんな涙は流せません……。
 だから、今は痛いほど伝わってくるんですよね。

 その後、リナはわざとわかるような明るい声で、「おっはよー!」とかゼルたちに話しかけてるんですけど、みんなにはバレバレ。というか……
 リナが朝食を2人前しか注文しなかった時点で、気落ちしてるのバレバレでしょう。
「あのリナさんが2人前!」「やはり堪えているのか…リナ!」などの心の台詞が聞こえてきそうです。
 ここで、朝食を持ってくるおばさんは、紛れもなく無印2話に登場した「おばはんは呪いのナイフより強し」で出てきたマジックアイテム店の奥さん。わざとなのか?狙ってやっているのか?こんなおばはん、誰が覚えている?と思いつつ、無印とNEXTが錯誤するこの回に、とても合っているキャスティングであります。

 リナがサイラーグに行くのを、ゼルたちに告げたとき、ゼルは原作の台詞を大きく変えてリナに付いていく事を言いました。
原作「――しかし、だ。だからといって、一人で行って来い、とは言えんな。とすればせいぜい、俺たちとしては、足手まといにならんことだ」
アニメ「しかし、だ。万一リナが勝った場合、俺たちは何もしなかったと一生リナに言われ続けることになる。それは正直言って、ヘルマスターよりやっかいだ。」
 何回目かに言ったとおり、ゼルはリナたちと一生の付き合いになると思っており、離れる気はさらさらないように感じられます。
 この結びつきが、アニメスレイヤーズにおいての最大の魅力です。

ゼル「しかし、その前にはっきりさせておきたい事がある。ヘルマスター=フィブリゾの目的だ。」
 この後、リナの片目が一瞬ピクッと動くんですよね。芸が細かい…。
ゼル「あいつがリナを使って何かしようとしていることは確かだ。そしてその狙いをリナは……」
アメリア「あっ!ストップ!」
アメリア「フィブリゾが何を企んでいるかって話なら、聞かなくていいです。」
リナ「聞かなくていい?正義と真実がモットーのアメリアがっ!?」
アメリア「ええ。だってヘルマスターが考えていることなんて、どう間違ってもいいことじゃありませんよね。もし聞けば、わたしはリナさんを止めなければならないかもしれません。ガウリイさんを見捨てることになっても……。」

 アメリア、こいつは肝心要めで決めるんだよね。そして、アメリア自身、正義と真実に背いても成したい事を優先させるという、にごった、それでいて純粋なエゴを持っているんだなと思いました。
 原作のアメリアはどこかしら、影があります。サバサバしていてドライな口調で、その中でも人間のドロドロしさの影をちらっと見せるアメリア。単純な善悪思考に覆い隠された、アメリアのこういう影が、私は好きで溜まりません。それって、人間らしさじゃないですか。それを隠そうとする心も、リナの堪え涙と同じく、少女期にある純粋な心で、内心を葛藤させるアメリアというのが、私の中で猛烈にツボです。

 次にマルチナですが、なんだかもう、付いて行くのが当たり前になっちゃった感じで、一緒について行っていますが、もうリナに対する復讐心はないですね。どこか、ライバル心を持ちながら、それでいてリナの魅力やその経緯を知ってしまったマルチナは、ある意味リナに惹かれるものを感じているんじゃないでしょうか。
 マルチナはコンプレックスの強い子だと、監督は話していますが、私はそうは思いません。だって、女の子だったらこれくらいのコンプレックスは普通に誰もが持っているし、とりわけコンプレックスを持っているようには思えないんですよ。
 だけど、マルチナはなんでリナにみんなが寄っていくのか、ゼロスが一目置くのかが、わからなくて、今まで意地になっていた。それをこの時理解したんじゃないかと思います。

 さて、内容は変わって、フィブリゾ。
 リナたちは必ず追ってくるさ、という自信ありげな発言をしています。というか策略家フィブリゾにとっては、リナの心理状況なんて簡単に把握できるのでしょう。今まで、策略においてリナを出し抜く敵キャラというのが、余りいなかったせいもあって、一層フィブリゾが憎たらしく、それでいて魅力的に感じちゃうんですよね。
 さあ、原作ラーシャートに替わって、アニメにおいてリナたちを妨害し、サイラーグまで追っかけまわすキャラは……。
 ………あれで正体隠しているつもりなのか?フィブリゾ…。
 どう見てもガウリイだとすぐわかるようなコスチューム。そして、いかにも操られていますっ!って感じの眼。

 出ました、魔剣士ガウリイです……。

 でも、好きなんだよね、操られている味方と戦うのって…。根本的にそういうのに惹かれるよう人間の構造はできているんだろうか?王道に乗せられてしまう自分が憎い。

 と、魔剣士ガウリイと戦う前に、もう一つ重要な人物がここで登場します。
 ストレス発散に盗賊退治をしたリナ。少し翳りのような寂しさをみせる表情の変化は、さすがです。と、そこへ盗賊の残党かと思ってリナが放ったバースト・ロンドで、空から降ってきたのは……シルフィール!

シルフィ「リナさん、アメリアさん、ゼルガディスさん、お久しぶりです。……白旗…見えませんでした?…アハ、アハハ……(どーんと倒れる)。」

 おお、無印以来なのに、ゼルガディスの名前をはっきり答えられるとは!
 って感心してる場合じゃありませんが、シルフィール。アニメらしい再登場です!

シルフィール「実は私もサイラーグに行く途中だったのです。旅の人からおかしな話を聞いたのです。サイラーグを通ったら…あの木(フラグーン)が無くなっていたそうです。しかも、サイラーグには街があったというのです。」

 シルフィールをここで出したのは、もちろんリナとシルフィールとガウリイの三角関係をもう一度、引き合いにだすためでしょうが……、アニメではそれももちろんですが、シルフィールとサイラーグの結びつきをも重視しているようで、…次の回はシルフィールにとっちゃ一番辛い回だと思います。

 それは、次回においておいて、いきなり先制攻撃を仕掛けてきた魔剣士ガウリイ!
 さあて、私が好きな最大のアクションシーンの始まりです!

 みんな見事にガウリイの正体に気づいてません…。だーれーかー突っ込んでー!ああっ、始まっちゃった!
 ディス・ファラング(リナ)、ラ・ティルト(アメリア)、ゴズ・ブロー(ゼル)。絶対に避けられないであろう3人のタコ殴り魔法にも関わらず、魔剣士!簡単に光の剣で切り裂きかわす。
 それどころか、光の剣はもう、剣というより火炎放射器の如く、エネルギーが飛びまくり、間合いもへったくれもない攻撃をしています。
 リナは魔剣士の剣を避けるも、腹を浅く割かれ、上空へ逃げます。そこでエルメキア・ランスを打ちますが…、爆風に乗って魔剣士が飛んでくる!
 シルフィールは無印でリナにフレア・アローを教わっていたが、やはりニンジンサイズしか出てこず、戦力になりません。

 ここまでで、5分間くらいなんですが、なんて早い……。しかも無音に爆風が鳴るのみ、という緊迫を表す効果が加わって、非常にレベルの高い戦闘シーンになっています。ここがっ!ここがすごい好きなんです!作画の力!演出の力ってすごい!
 これこそ、アニメの特権です!

ゼル「相変わらずだなっ!」(といってシルフィールをかばう)
リナ「あんたの相手はあたしよ!ブラスト・アッシュ!」
ゼル・アメリア「ダム・ブラス!」(出た!夫婦魔法!)
ゼル「ダイナスト・ブラス!」

 大技、小技のオンパレード。特にゼルは精霊魔法専門なのに、今回はダイナスト・ブラスまで披露しちゃって!これで、アメリアとダブル・ダイナスト・ブラスができますね。
 しかし、魔剣士、これを脅威的剣さばきで防ぎます。光の剣に纏わりつかせて、逆に攻撃するだなんて……。ガーヴが「ゴルン・ノヴァとて、人間が使うにはたいしたこともねー!」という理由がわかりますよね。(注:ここでは光の剣の力はフィブリゾが出しています)

 そこでゼルガディス、アストラル・ヴァインをかけた剣を持って、魔剣士ガウリイと初のサシ勝負!アニメで、これほどリアルな剣の動きをしたのはこの回が初めてで最後。気合と動画枚数の程が、伺えます……。こういう肝心要めで、一枚絵などで止めもせず、キャラクターを動かすというのは……、やっぱりNEXTは最高だと思います。
 TRYは動画枚数すごいそうですが、やはり読者が動いて欲しいと思うときに、止め絵を作ってしまったことが残念でならないんですよ。
 だから、この時の作画監督、戸部さんて、本当にすごいんだなって思います。(オープニング担当している方です)この方は今もなお、作画監督を務めていらっしゃり、私が確認したのでは、犬夜叉のオープニングにも関わっているようです。

 形成はゼルが不利でしょうか、そこへ飛び込んできたアメリア。フレア・ビットを打ちます。続いてリナのブラム・ブレイザー。
 逃げ際にリナが放った大技、ドラグスレイブは…。ガウリイ、光の剣で吸収し、ドラグスレイブ・ソードに変化させやがりました。
 いや、これは原作を知ってる人にとっちゃ、大切な魔法であり、これでカンズェルを倒した(アニメでは違うけど)という印象に残るものです。…それを…ここで使うなんて、脚本さんナイス・過ぎです!(この回は渡辺誓子さん、無印からいる脚本家さんです)

 と、ここでピンチを救ったのは…ザングルス!!!
 無印でガウリイの敵役として登場し、ヘンなお面をつけて、雪山で埋もれて、愛剣ハウリングソードをガウリイに折られ、米粒でくっつけたという……あの!3流悪役が!(NEXTでちょっと2流を気取ってるザングルスですが…読者は忘れてねーぜ!)
 注:私はそんなザングルスが心底好きです。私のツボキャラは3流な奴。

 そして魔剣士ガウリイとの勝負!
ザングルス「なっ!この太刀筋は!まさか!」
 と一人、魔剣士の正体に気づいた様子ですが…、見て気づけ。太刀筋みるまでもないだろう。

 しかし、ザングルス、魔剣士の肩口に浅く一発入れた模様。魔剣士が隙を見せたその隙に、リナ、ラグナ・ブレードをぶっ放つ!
 
 そして…仮面が取れる。出てきたのは焦点の合ってない、ガウリイ…。

ゼル「ガウリイ!」
シルフィール「ガウリイ様!」
ザングルス「ガウリイ…」
アメリア「そっ、そんな…」
リナ「……ガウリイィィイイイイ!!!!」

 みんな見て気づけぇぇええっ!!!!!!

 ってわけで、今回はここで終わり。私は、この回がNEXTで一番好きです。突っ込んで、突っ込んで、仕方が無い回ですが、この時ほど、アニメの動画力を見せ付けられたことってないですから…。単発的な1話ですが、侮りがたし!スレイヤーズ!
 ではでは、いよいよ次回、死霊都市にリナたちが入ります!
 ここからの3話は、まるで映画のような綺麗な続き物。最終回へと刻々と参ります。

NEXT感想記第22回「奪われた光の剣!魔竜王最後の時!」
2004年06月05日 (土)01:15
rel_0071.jpg 500×300 88K
 戦いのコンセプト。そして敵側の理念。
 敵もそれなりの理由があり、そして戦うというスレイヤーズの基本では、コピーレゾ・フィブリゾ・ヴァルガーヴ。みんなそれぞれの本心がありました。ですが、私はそんな中で、ガーヴほど好きな理念はありません。それは、「己が生き残る為」というどっちも引けない状況であること、リナのやっていることが正しくはないということ。そんな、生々しい生き残り合戦が私は大好きだからです。
 そんな熱い戦いが好きだ!
 というわけで、お気に入りのガーヴ戦。水竜王の回からずっと絵柄を変えてやってきましたが、ついにガーヴとの決着がつきます。

 まずは、前回ガーヴの不意打ちによって左手を切り取られ、にゃらにゃらの如く悶えていたゼロスのシーン。(後から刺されそうな台詞だ)
 ゼロスに詰め寄るガーヴ。ゼロスから「フィブリゾの企み」について再度問いかけます。が、ゼロスはフィブリゾを少し見て、「それは秘密です」と言い残して消えてしまいます。

ガーヴ「所詮魔族なんてこんなものよ。己の身を守る為なら仲間のことなんか知らねぇってよ。」

 そんなゼロスに向けたガーヴの言葉。いやぁ、ガーヴ。あんたこそこんな台詞が吐けるなんて魔族じゃないよ。ゼロスとリナたちが仲間ってのが…。しかし、ガーヴって部下とかには本当に暖かかったんじゃないでしょうか。ゼラスもすごいけど、情が入ったらガーヴの方が暖かいかも。

 そして、リナの方に向かってくるガーヴ。結局、目的がどうであろうとガーヴがリナを狙っていることに変わりはないのですからね。しかし、リナは吐血。セイグラムに使ったラグナ=ブレードのせいで体力が回復してません。そんなリナをかばうのがガウリイとゼル。アメリアはまだ治療中です。

ガーヴ「はっ。くだらねぇ。てめぇの命まで賭けて勝てっこねぇ戦いをやることもねぇだろ?」
ゼル「黙れ。これは俺たちが生きる為の戦いだ。」
ガーヴ「なるほど。ヘルマスターの企みをぶっ潰すのが、俺自身の生きる為だとすれば……俺とお前らは似てるのかもな。」

ガーヴ「ま、俺たちは似たもの同士。だから大人しく殺されろなんて無茶は言わねぇよ。好きなだけ抵抗してみな!自分自身が生き残る為によ!」

 くぅ〜、ガーヴは魔族なのに生きたいと思うことが本当に好きだ!
「カタートの連中みてぇに、自分をふくめて一切合財滅ぼすためだけに生きる方がいいか?」
 魔族というのは「世界を壊す」ことに願望や欲望が働くようにできているらしい。それはLが作った絶対の掟みたいなものだろう。そのタブーを破り、上司に逆らえる魔竜王はもはや魔族とは根本的に言えないんだろうな。ガーヴは、滅ぼされないように魔族すべてを敵に回して、生き残ろうとした。そのやり方は人間を駒の如く使うという意味では、フィブリゾと同じだけど、それは自分が生き残る為に魔族に踊らされるリナと同じく、”正しくはないけど、それしかない”という境遇が似ていて、なぜか共感してしまうんです。
 ある意味、一番わかりやすい敵じゃないですか。
 わかるだけに、いい敵なんですよね。
 台詞なんか、「伊達と酔狂で反旗翻しました」(byアッテンボロー)てかんじですけど、ホントどこか寂しいんですよね。「勝てっこねぇ戦い」を一番自覚していたのは、ガーヴだったんではないでしょうか。

 ガウリイとゼルは、足止めと豪語している通り、こてんぱんにやられます。ああ、木の葉のように二人が舞う!止めを刺されそうなとき、ガーヴに術を食らわせたのは復活したアメリアです。…ゼルアメじゃない方すみません。ですが、この一言だけは逃せない。

ゼル「チ。心配させやがって。」

 心配?心配?シンパイ!ゼルぅ〜!このヤロ、そんなに大切なのかよアメリアがぁ。(いい加減刺されますよ、根津さん
 というかですね、もうゼルがこの頃からアメリアを以上に気にするんで、もうゼルアメにはウハウハなのですよ!ガウリナはまー、少しはあっても仕方がないと思うんですが、ゼルアメというアニメ独自の恋愛は、この頃から顕著に。アメリアの片思いがだんだんと実ってきたかのようで、アメリア好きにはたまらないのです。

 が、復活したのもつかの間。アメリアはガーヴにバックを取られ、絶体絶命に。
 ああ!ゼルがゼルがかばった!
 ゼルにとってアメリアは手のかかる妹みたいな存在なんですよね。まぁ、4人組にとってアメリアは一番末っ子の可愛い存在。が、やっぱ助けるのはゼルなんですよね。
 アメリアは、ゼルの血を見て震えます。戦闘経験の無さがやっぱり現れるアメリアも好きです。無印では最後たくましく戦いましたが、やはりこういう正念場にかかると、甘えが抜けきらないアメリアなのです。

ガーヴ「これでわかったろ。いくら正義を気取ってみても、所詮圧倒的な力の前では無力なのさ。」

 ガーヴ。やっぱりわかってるだろ。というか死相が出てるよここらへんから。圧倒的な力というのはフィブリゾも入っているんじゃないか?

 みんなが絶望している時。現れたのは、リナ。(こっちも復活)ガーヴの目の前でラグナ=ブレードの詠唱を始めます。この時のガーヴの表情を見る限り、ここでヘルマスターの企みが何なのか気づいたに違いありません。現に義仲版マンガでは、ガーヴは気づいてさらにリナに魔力封じをさせています。
 そして、一気に詰め寄るリナ。ガーヴは下から剣をあわせそれを受け止めます。が、あっさりと剣は折れ、ガーヴの肩口に闇の刃が打ち下ろされる。

 この後、原作では何の感触もなくガーヴを斬り、改めてラグナブレードの威力を思い知ることになる展開でしたが、アニメ版では、この後のガーヴの行動がすごいんですよ。
 それは、リナの両手を掴み、刃を振り下ろされないようにするガーヴの姿です。
 あまりに力まかせにガーヴが掴むもんで、リナのひじが脱臼するようにごきゅっと鳴るんです。それでもリナはラグナ=ブレードを離しません。その決死のガーヴの表情やリナの顔が、生々しくって本当に好きです。この戦いらしい血みどろの肉弾戦が。
 アニメ独自がもう独立独歩しちゃってるんですけど、これはアニメじゃないとできない効果なので、本当にいいです。
 原作もアニメもそしてマンガもここらへんはかなり自分なりの解釈を加えてかいていらっしゃるので、見比べてみるのも面白いと思います。「原作通りやれなんて言われたら、逃げちゃうよ!」という脚本さんたちを始めとするアニメのスタッフの力量ですね。これは。…くやしいけど、言うだけのことはあると思う。

 リナは力ずくで剣を振り切り、両者とも吹っ飛んでいきます。荒い息をつかせながら、「勝った?勝った!」とつぶやくリナ。ミルガズィアさんは「見届けた」とばかりに飛んで行き、みんながリナに寄っていきます。この爽快感がとっても素敵。一方フィブリゾは不適な笑みを浮かべて消えてしまいます。
 マルチナがリナに合流したその時。

マルチナ「うえぁぁぁああああ!」

 ガーヴ、生きてました。
 怖ー!怖いよガーヴ。4度目の登場。もうあんたの強さはわかったよ。といわんばかりに逃げ出すリナ一行。ガウリイはちゃっかりリナを抱いて、役どころをキープしています。あんま様になっていないのは、言ってはいけないことでしょう。
 が、皆様ご存知のとおり、ここでガーヴが絶叫を上げます。
 やはりアニメ版でもガーヴの腹から手が生えています。そう、フィブリゾです。

ガーヴ「きっ貴様。いっ…いつの間に?」
フィブ「はははは。ボクなら最初からここにいたよ、魔竜王=ガーヴ。もっともゼロス以外はボクの正体に気づいてなかったみたいだけど。リナ=インバースもそしてキミもね。」
リナ「…あんた、何者?」
フィブ「そうそう、まだ名前言ってなかったね。ボクの名前はフィブリゾ。ヘルマスターって呼んでくれてもいいよ。」

フィブ「ま、みんな予想通りに動いてきてくれたね。ガーヴも予想通りのこのこ出てきてくれたし。」

 というフィブリゾ。策士で扇動家。残虐で狡猾。見た目はかわいい子供。そんなギャップに当時14歳だった私は見事にひっかかりました。ゼロスにひっかかんないで、フィブリゾにひっかかるって、我ながらひねくれているなーと思いますが…。まあ、昔の話です。はい。

フィブ「ボクがリナ=インバースを使って何かを企んでいる。そう、ガーヴ部下に情報を流した。それが最初さ。」
リナ「で、ゼロスをあたしにあてがい、さんざん引っ張りまわしてガーヴの計画を叩きつぶさせた挙句―」
ゼル「後からのこのこ出てきたガーヴを自分の手で始末――か。」
リナ「ふん。結構楽な仕事してるわね。」
フィブ「まあね。」

フィブ「そう、それが一つ。」
アメリア「一つ?」
フィブ「あれ?もう気づいてると思ってたけど?真のクレア・バイブルに触れたリナ=インバースなら。
世界を滅ぼし、全てを滅ぼし、そして混沌へと帰る。我らが魔族究極の目的の為、どうしてもキミの協力が必要なのさ、リナ=インバース。
ガーヴとの戦いで切り札を見せてくれるかと、ちょっと期待したけど……ガッカリだよ。ま、もっとも今すぐボクのリクエストに答えくれるのは、その身体じゃ無理そうだけどね。」


 ついにどんでん返しってところでしょうか。伏線はガーヴ戦からありましたし、まぁある程度予想できていたことでしょうが、でも、「おねいちゃん」から「リナ=インバース」「キミ」。言い方がガラッと変わり、口調までも別人に変わるこのフィブが…いい!(どーん
 ポコ太から写楽って感じで!(わかる人はわかってください)
 この大人びた口調がなんとも言えずアンバランスで、好きなんですよぉ。いいね!フィブ!そして、顔つきかな。やっぱり。この後、フィブリゾはありえないほど多彩な表情を見せてくれます。コピーレゾの比じゃありません。

フィブ「そう。キミだ。キミが丁度いい。」

 そう言ってガウリイを攫うフィブリゾ。黒い触手に絡まれるガウリイ。何が悲しゅうて男が触手に絡まれる姿なんて見たいと思うのか!いや、そんな場合ではない。腕を伸ばしてリナと叫ぶガウリイ。走りながら吐血するリナ。王道パターンだが、何故かすべての性別が反対だ!

フィブ「彼を帰して欲しければ、僕の町までおいで。そう、サイラーグへね。」

 というわけで、NEXTガウリナの究極のストーリー。ガウリイ、囚われの姫と化す。もうアニメでもベッタベタで笑えます。(ごめん、でもこれよりゼルアメの方が今回は萌えたの。)
 次回もベッタベタです!ガウリイ、操られリナと戦う!
 いや〜、あまりのテレビオリジナルの王道さに、いくらアニメ派と言っても耐え難いものがあるよ、と思った次回の23話なんですが、今ではある点において、アニメの中で一番好きな回です。そう、アクションシーンにおいてここは最高だと思います。というわけで、次回はかる〜く見てください。でも、すごいんですよ。本当に動くんですよ。お勧めの一話。是非、アニメも観てくださいね。

NEXT感想記第21回「千年の真実!裏切りの魔竜王!」
2004年05月25日 (火)13:38
rel_0070.jpg 500×300 88K
 この回を逃してNEXTは語れない!ついに目的であるクレア・バイブルに到着するリナ。一方、ガーヴとセイグラムは本腰を入れてリナたちを襲う。ガーヴは水竜王の残留思念であるアクア婆ちゃんと、セイグラムはゼロスとアストラル・サイドで決着をつける。ガウリイたちにはレッドとグレイの魔族と戦ってるし、マルチナはクレア・バイブルの中についてきちゃうし!それに謎の少年(フィブリゾ)はゼロスとアイコンタクト!?
 というわけで、人物多っ!という今回の感想を行ってみましょう!

 まず前回、クレア・バイブルのあるという岩陰まで着いたリナ一行。ミルガズィアさんはリナだけを案内するということ言います。
ゼル 「なぜだ!?」
 …一人食いついたゼルガディス、彼も行きたかったに違いありません。ミルガズィアはこの中がアストラルサイドに近い迷宮だと言って彼らを近づけさせません。ゼロスは「そーだ、そーだ」とにこにこ顔で賛同。ゼロス…おまえって奴は…。
アメリア 「お土産ヨロシクお願いします。」
 密かにゼルのことを気遣ってる(のかな?)アメリアがかわいいですね。

 だが、「行かせはしない!」と飛び込んで来たのはセイグラム!みんな一気に戦闘モードになります。防御はアメリア、ミルガズィアさんはレーザーブレスを吐いています。うわ〜、一瞬竜の絵が出てくるのがかっこいいです!ガーヴも攻撃の際、本性である三又の赤竜が出てきますよね。
ゼロス「あなたの相手はこのボクです。さっ、リナさん、今のうちに早く!」
 …ゼロスがこういう騎士的な台詞を吐くと笑ってしまうのは私だけでしょうか。まー、NEXTでゼロスはナイトなんですけどね。というわけで、セイグラムとゼロスは戦場を変えてアストラル・サイドで決着を付けに行きます。

 最後に到着したマルチナとフィブリゾ。マルチナはリナを追ってクレア・バイブルに入って行き、フィブリゾはガウリイたちにこっそり合流。ゼロスだけはフィブリゾの存在に気づいた様子です。

 と、ここまでが前回でした。今回は2手に分かれた4人組を中心に話が展開していきます。まずはクレア・バイブルに入るリナたち。
 このクレア・バイブルの取り巻く世界。魔族の結界とはまた違って、原作でも不思議な空間という感じがここでもかってほど出ているところです。アニメではマルチナがいることでギャグっぽいですけど、背景が揺れ動いたり、キャラの動作が緩やかだったりと、異質間がちゃんと表現されています。
 ですが、やっぱりここは原作の方が私は好きです。なんというか、静かさと不思議さを両方とも感じさせてくれるんですよね。4巻のカンズェルの結界に取り込まれたリナと雰囲気が似てるんです。こういう表現の仕方って素敵ですよね。

 アニメでは、さすがに手を引きずって歩いたりはしないんですねー。私としては、ミルさんとリナとマルチナが手を繋いでるのがかなり見たかったんですが…。みゅー、残念。(どうしてこうもギャグに持って行きたがるのか。)
 そしてミルガズィアが語りだす、ゼロスの姿。
 それは、降魔戦争の時に竜族をたった一振りで殺すゼロスの姿だった。
 杖持ってないんですけど、あの謎のバックだけはちゃんと千年前にも持っているゼロス。なにが入っているのか気になるんですよねー。あのバック。しかし、さすが降魔戦争だけあってしっちゃかめっちゃかに土地が荒れています。そんな中、いつもの笑みのゼロスが本当に怖いですね。

ミルガズィア「魔族相手に戦いを挑もうなどと考えるな。まして魔族に勝とうなど、無謀以外の何物でもない。」
リナ「無謀って!そんなのやってみなきゃ……」

 一方、ガウリイ・ゼル・アメリア・フィブリゾは、セイグラムが置いていったレッドとグレイの球の魔族と戦います。むろん、フィブリゾがこの時点でアクションを起こすはずも無く、もっぱらガウリイに引っ付いて「ボク巻き込まれちゃっただけなの。ただの民間人なの。」というのをアピールしています。…私はこの時、フィブリゾ、一度死ぬ振りをするのかなーと思っていましたが、それはありませんでした。
 今回のアクションシーンも素敵で、レッドとグレイの動きが見事に再現しているんですよ。レッドが攻撃、グレイが防御です。光の剣が火花散らしてるところなんて、まさにアニメならではです!

 リナが再会したのはアクア婆ちゃん。写本神殿で、ガーヴを追っ払ってリナたちを逃がしてくれたアクアは本体を見つけに来たリナに向かってこう言います。

アクア「決して後悔しないね?」

 リナの知る情報――ロード・オブ・ナイトメアの正体。それは魔族の王などではない、すべての創造主であることを、たかが人間が知ってしまうことの恐ろしさ。呪文などを意味もすべて理解しないまま使ってしまっている愚かな人間に、アクアはこの言葉を口にするのでした。
 テレビオリジナルのこの会話。次のリナの台詞が私はかなり好きです。たぶん、アニメ独自のリナを作っている高山さんらしい台詞じゃないですか。

リナ「ちゃはは。わっかんないや。まあ、クレア・バイブルの知識がどう役に立つかはわかんないけど。……けど、今のあたしにはたぶん必要なんだと思う。あたしたちが生きる為にはね。」

 あたしたちっ!複数形ですか!
 ガウリイは保護者、アメリアはセイルーンに帰れないから、ゼルはクレア・バイブルを探す為。アメリアはセイルーンに一度帰っていて、当初リナと同行した時の理由なんてもう無くなっているのに。ずいぶんみんなお人よしに魔族から狙われているリナに着いて旅をしているもんです。ゼルはクレア・バイブルを探す為と言っておきながら、クレア・バイブルを探せなくなった後でも、まるで当然のごとくリナに着いて行っています。
 また、原作では「みんな何らかの目的があって、あたしと行動しているだけ」というのを感じる台詞が多々あるのですが、アニメではまるで当然のごとく4人がいるんですよね。例えばゼルが「勘違いするな。旦那はともかく俺やアメリアは、場合によっちゃ敵になることもあるんだぞ」という台詞を原作では言うんですが、アニメでは言わないんですよ。
 それどころか23話ではガウリイがフィブリゾに攫われた翌朝の台詞まで変わってて
「リナが勝った場合、何もしなかったと一生言われ続けるのは、ヘルマスターよりやっかいだ。」
 になっています。一生ってなんだ、一生って。思わず笑うぞゼルガディス。

 とまあ、ゼルにとっても一生の友、というのを強く感じるこの4人の連帯感。私が好きなのはアニメの4人組は本当に仲がいいことです。
 アニメのリナは、シリーズ構成を担当している高山さんに似ているらしい。また、原作でリナは神坂先生に似ているともおっしゃられています。この二人が描くリナは全然違うんですけど、どちらも大好きですね。それがアニメというチームで作品を仕上げる高山さんか、一人で書く小説というメディアの違いかはわかりませんが、仲間で動くリナと、一人でなんでも背負い込むリナに分かれているような気がするんです。
 生きる、というテーマは一緒でも、節々に二人の作ったリナの違いが現れています。

 もっとも、たちの複数形をガウリイ一人、と解釈することもできますが、あなたはどちらだと思いますか?

アクア「それじゃあ、見せてやるとするか。」

 と、現れたのは光る手のひらサイズの球体。そう、アニメだとやっぱここで特殊効果を使いますよね。メディアの違いです。
 マルチナはリナよりも先にクレア・バイブルに近づこうとするんですが、やっぱミルガズィアさんに跳ね除けられます。
 マルチナ…ほんに可哀想な引き立て役じゃて。…私が思っているだけかもしれませんが…。
 そこへ神々しく近づくリナ。やっぱりここは、クレア・バイブルというのを1話目から証し、今まで旅をさせてきたNEXTのターンポイント。そして主人公パワーアップというアクションの王道。力を入れて感動させるように作っています。作っていますとも!おおー、いいですね!(一人だけテンションが違う)

ミルガズィア「クレア・バイブルとはかつて滅ぼされた水竜王の記憶。無限の知識の奔流なのだ。」

 さりげなくクレア・バイブルの本当のことを言っているミルさん。NEXT1話でのクレア・バイブルの意味と比べてみるのも面白いと思います。
 さて、ネタ晴らしも済み、クレア・バイブルと話す?リナ。

クレア「人間よ。何を知りたいのだ。」
リナ「まずはなぜガーヴが魔族を裏切ったのか。その辺りの理由。さっぱりわかんないもんでね。」
クレア「よかろう。」

 えっ!?よかろうってクレア・バイブル、教えちゃうんですか?原作では辞書のようにしか引き出せなかったクレア・バイブル。ゼロスの出番を強引に割って話しちゃいます。(原作ではゼロスが話すことだった)…う〜ん、水竜王の記憶って言っちゃっているからいいのかな。…いいのか?

クレア「千年前の降魔戦争の時、魔王とガーヴによって倒された水竜王は、最後の力で魔王を封印しガーヴを人間の身に封じ込めることに成功した。人間として転生を繰り返させ、魔族としての力を徐々に封じさせる為に。しかし、転生を繰り返すうちに、ガーヴの魂は人間と同化し、ガーヴは魔族から離反した。」

 ガーヴというキャラは人間にも魔族にも戻れなかったはみ出し者なんですね。これがわかってからのガーヴの表情というのは、ただ単に好戦的な血なまぐさい敵、というのではなく、どこか悲しそうな寂しそうな表情をみせるんですよね。このガーヴの存在があってこそのヴァルガーヴ、そしてジラス・グラボス。TRYのテーマにも関わる問題にもなっていくんですね。

リナ「次の質問。この地に住まう人の身で、魔族を倒す方法は?」
クレア「魔族の力を越えるには、それより強い力を持ってするのみ。」
リナ「なるほど。それは当然ね。じゃ、質問を変えるわ。魔王の魔王、金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)について知りうる限りを教えて。」

クレア「良かろう。あれは理解するには余りに巨大すぎる存在。しかし、伝えられることだけは伝えよう。…全ての闇の母…魔族たちの真の王…在りし日の姿に帰るのを望み続けるもの…闇よりも暗きもの…夜よりも深きもの…混沌の海…たゆたいし金色…全き虚ろ…全ての混沌を生み出せし存在…悪夢を統べる存在…すなわち、ロード・オブ・ナイトメア…」

リナ「すべての混沌を生み出せし存在!?ロード・オブ・ナイトメア…、そんな……知らなかったものとは言え、あたし…あんなものの力を使った術を唱えてたの?じゃあ!ギガ・スレイブの正体って!!」

リナ「伝説によれば、あたしたちが住んでるこの世界は、遠い遠い昔、何者かによって付き立てられた杖に存在しているの。そしてその上にある世界は丸く、平らで、…そうね、突っ立ったフォークの上にある目玉焼き、そんなところを想像してもらえればいいわ。」
 これは、かつて無印4話でリナが言った台詞。原作1巻では、ちゃんと混沌、といってました。そう、アニメでは何が伏線なんだかわからないんですが、そこは雰囲気でカヴァー!混沌こそロード・オブ・ナイトメア。無印4話目にして伏線!と読みたいところです。
 この何者ってのはやはりL様なんだろうな。ま、魔族が杖を狙ってるというのは、魔族を理解できない人間が勝手に考えた伝承として…在りし日の姿にもどるのを望むってのはナンなんでしょうね。
 そのヘン、全く詳しくない私が言ってもしょうがないのですが、L様。本名はルシファーと言われています。

(ルシファーとは、「光を掲げるもの」「曙の明星」といった意味を持ち、天界にいる時には、もっとも神に愛された者であった。
しかし、神の恩寵を一身に受けていたルシファーは、自分こそ神の座にふさわしいと考えるようになり、神に叛逆し、地獄に落とされた。

ミカエルによって地獄で鎖につながれたルシファーは、1000年間は幽閉されるはずであった。
しかし、彼はすぐに地上に現れ、神への反撃を企てている。
もしくは、彼の地上での姿は幻影であり、実体は地獄にいるとも言われる。)

引用文献:幻想図書館 http://www.asahi-net.or.jp/~qi3m-oonk/tosyokan/

 というわけで、ルシファーは堕天使の代名詞。…皆様の方がよくご存知かもしれませんけど…。L様は神々の世界に近づけるよう今の5つの世界を作ったのでしょうか。
 う〜ん、L様が単なる模倣の為に世界を作ったとはとても思えないのですが、とにかく魔王シャブラニグドゥらを統べる魔王、という存在ではなく、すべての創造主だったことを感じたリナは、愕然とします。

 しかし、現れたのは魔竜王ガーヴ。リナとマルチナは外へ逃げ、アクアとミルガズィアはガーヴと対峙します。…因縁の試合ですね。アクアを守りきれなかったミルガズィア。当時はゼロスにこてんぱんにされた竜族の生き残り。そして、滅ぼされて欠片だけの存在となったアクア。純粋な魔族ではなくなってしまった魔竜王。
 どー考えてもフィブリゾが元凶な因縁試合の幕開けです。のちにここで、アクアは倒されてしまうことをぼかして説明されています。テレビオリジナルとはいえ、初めての味方の死。それがアクア婆ちゃんです。(ギャグキャラは死なない。というがアクアはギャグキャラじゃないですもんね。)

アクア「正直に生きなされ、リナさんや。自分に正直にな。」

 ミルガズィアさんと同じことを言うアクア婆ちゃん。そして、「ギガ・スレイブだけは使うな」と言ったあの水竜王の意思から少し変化したアクア婆ちゃんの最後の台詞です。どっちが本音?って感じですが、私はアクア婆ちゃんがリナをガーヴから守ろうとする動きや、ミルガズィアさんの行動から、「すべて知っているけど見守ろう」になったんではないかと思います。
 正直に生きることの意味は、このアクア・ミルガズィア・さいごにマルチナを通して教えてもらうリナ。今は、キーワードだけの登場です。

 外に出たリナを待っていたのは、ゼルガディスの石頭。……じゃなくって、レッドとグレイの魔族。瞬間移動や性質を変えることまでアッサリ行う魔族を相手に苦戦しているガウリイたち。マルチナはというと、フィブリゾによしよしされています。
 フィブリゾ相手に「よしよし」されるキャラなんて、マルチナだけじゃあるまいか?と、この頃から徐々に声に変化をつけ、さも意味ありげなキャラクターに変化しているフィブリゾ。次の回で本性を現すことになります。

 そんな時、出ました。アメリア。ヴィスファ・ランク!
アメリア「これぞまさしく、正義の拳。この世に悪を振りまく魔族よ。今こそ私の正義の怒り、その身に受けてみるがいい!」
 ええっと、「これが私の力だ。コケにしてくれた魔族め、殴り飛ばしちゃる」と解釈していいのでしょうか。
 この魔法、アストラル・ヴァインの手に込めるヴァージョンなんですが、アメリアが扱う魔法の中で断然好きだったりします。是非ゲーム「ろいやる」シリーズでこの魔法使ってみてください。ろいやる2の方がいいです。もう、面白すぎですから。
アメリア「アチャチャチャチャチャ!」
 古いっすよ!アメリアさん!元ネタ知っている世代じゃありませんって!

 とか言っている間に、アメリア、勝利宣言をしている間にセイグラムの不意打ちを食らいます。うお〜〜!セイグラム!おめー、何すんじゃアメリアに!
 どわ〜〜!ゼルがゼルが、抱き起こそうとしてる!(ごめん!ゼルアメじゃない皆様)

リナ「ダメ!動かさないで!」
ゼル「ダメだ。リカバリィ程度じゃどうしようもない。」
リナ「シルフィール。シルフィールがいてくれたら。」

 ちっ。ゼル、抱き起こさなかった…。(何を期待してんじゃ、何を)というわけで、今回の絵は私の妄想もものすごく入っているんですよね。ちなみに次回もゼルアメ入ります。だって、かばい、かばわれがゼルアメなんですもの!

 さて、この件を機会にしてリナはセイグラムと完全決着。ゼロスはセイグラムの話によれば別の世界に撒いてやったということ。…セイグラムに対し、完全版ラグナ・ブレードを放つリナ。
 おおっ!ショート・ソード並みじゃない。長いです!やっぱ画面にその方が映えるからでしょうか。

セイグラム「その魔法は!その魔法は!……ああ!」
 なんだ、お前のその身の変わりようは。
 と、グチをこぼしている場合じゃなく。
ゼロス「あれで私から逃げたつもりですか?セイグラムさん。」
 ゼロス、お得意のアストラルサイドからの不意打ち攻撃。
リナ「ラグナ・ブレード!!!!」

 というわけで、完全版ラグナ・ブレードに試し切りされたセイグラム。身も蓋もない終わり方です。がね、ここでラグナ・ブレードを使ってしまった為に、リナはのちに手痛い攻撃を受けることになります。

ゼロス「いやー、お見事でしたリナさん。さすがは……ぐはぁ!」

 ゼロス、いきなりの不意打ち攻撃。手が…手が吹っ飛んでます。アニメ規制が厳しくなる前でよかったですね。なんて、のどかに言っている場合じゃない!またしてもガーヴの登場。これで3度目!
 というわけで、ガーヴとこの後どう戦う?!ってわけで、続きます!

NEXT感想記第20回「いくっきゃないっ!ドラゴンの谷を目指せ!」
2004年05月18日 (火)19:51
rel_0069.jpg 500×300 79K
 スレイヤーズに再ハマリしたのはキッズステーション(03年12月)の無印放送開始からです。その後、無印が終わる前に原作を買って読んで(それまでは図書館通いだった)みました。…正直言って懐かしさもありましたが、それ以上に大きかったのは昔読んだところとは、違う部分を味わえるようになったことです。そんな中で印象に残ったのがドラゴンズ・ピーク。原作の挿絵の土むき出しの荒れた大地から、どんなところかを想像したり、黒と金で覆われた圧巻の竜の姿を想像したり。
 それらは絵に起こしたわけじゃないんですけど、もわもわ〜と広がる世界観に酔える時って、本を読む中で一番楽しい時間です。上手くいえないんですけど、それらは絵にしてしまうと輝きを失ってしまうようにも感じるし、絵になってくれて嬉しいと思う場合もあると思うんです。空想ほど綺麗で曖昧な物はありませんが、それらは決して現実のものに直せないものだと思います。
 ほら、頭のなかで描く正三角形は完璧でも、それを描いてみるとなかなか上手く描けないし、どんな技術を使っても微妙にずれてしまう。文字もそうです。

 原作がアニメになる。それはいろんな違いが出てくるし、何より自分の頭の中の世界を具現化してしまうことになるから、「ちっ違うんだよ〜っ!」と思うことも多々あるんですが、でもこの回の竜の峰は全てを許せるほど素敵だと思いました。
 音楽かな、間の取り方かな、やっぱり背景美術の力かな…。私にはわかりませんが、なぜだかとても感動してしまった部分です。絵にしてしまえばそれまでと思えず、やっぱりプロが書く世界はすごいんだー…と思いました。そんな竜の峰――谷に変わってしまったということは気にも留めず、感想記いきたいと思います!
 ちなみに自分が描く絵だと空想がこんなにショボくなってしまうのかと、毎回の事ながら呆れますが、それでもやります。(イラスト描きさんなんてみんなそうなんじゃないかなー…レベルの差は大いにあれど…)

 アクア婆ちゃんの導きによってカタート山脈、ドラゴンズ・ピークを目指すリナたち。山脈の入り口にはゴースト・タウンのように寂れた村があります。この村を一歩でも進むと、そこはもう何十年も人の入ったことのない森が広がって入る為、立ち往生しているのです。
 ここの村の意味は原作のディルス王国に当たる部分で、そうフィブリゾを出すのが目的だと思います。この村がゴーストタウンっていうのはよくできているもので、これから一歩先は魔族の本拠地である怖さなどが出ていて良いと思います。
 そんな場所になぜ村ができたのかも知りたいところですが、きっと英断王―ガイリア2世のカタート遠征の時には活気づいていたんでしょうね。その末路から急に寂れたとかそんな感じなんでしょう。……魔王竜ジョンが荒らしまくったとかだったらショックだぞ。ついでに言えばここでラギアーソンが魔族の荒んだ生活とかしてたら、もっと嫌だぞ。(すぺしゃる19『るなてく・へすてばる』参照)

 まあ、そんなことも思いつつこのゴーストタウンにいるリナたち。
 すっかり人間に化けることをやめたゼロスが平然と空間を渡っているのがこの回。みんな最初だからビックリしていますね。TRYに入るとこれが普通になってしまうのだから、慣れってコワイ。
 そんな中登場したのが「女の子かと見間違えるほどかわいい」とされるフィブリゾ。原作同様バックにキラキラを乗せて登場し、リナの財布を掏る。
 このフィブリゾ、アメリアが一瞬惚れているような顔つきをし、マルチナがショタに走るほどの美少年らしいです。マンガでは女バージョンで登場しているし、どうも中性的な雰囲気を誰もがかもし出したいらしい。美少年=中性的な美しさの定義が見事にはまっているキャラクターです。

 さて、そのフィブリゾに案内されてドラゴンズ・ピークに行くリナ一行。原作といい、ここでフィブお得意の誘導が始まっているわけですね。最初いい人、その後本性のレゾ。力押しのガーヴ。初回からリナと直接対決の若さあふれる熱血漢、ヴァルガーヴ。そんな様々な敵がいますが、中でも一番扇動的といえばこのフィブリゾだと思います。魔族の中でも敵が多そうな性根の悪さ、それもフィブリゾの特徴です。
 なんせ奴は降魔戦争の仕掛け人でありながら、シャブラニグドゥやガーヴも傷つく戦いでのうのうと生き残り、おそらく部下を捨て駒にし、統率の取れていない下っ端魔族(セイグラム)の離反を種にゼロスを借りてくるんですからね。そして言う台詞が
「なんせボクの部下は千年前に滅んじゃってるし」
「ゼロスも使える方だけど…うんぬん」
 それが上司の態度かこらぁー!…ゼロスがフィブのこと嫌ってたわけがわかる。そんなくそ性根の悪いフィブですが、…私の大のお気に入りだったりします。なんででしょうねー?

 話を元に戻して、フィブリゾの案内でドラゴンズ・ピークに向かうリナたち。後から追いかけるマルチナ。
 ドラゴンが無数に飛び回る、優雅なドラゴンズピークを前に佇むリナたち。映像っていいなーと思った瞬間です。指輪物語を莫大な金をかけて映画化する理由もわかるってもんですよ。エルフのありえない動きに爆笑してみてるような私にゃわからない、ロマンがそこにあるんですよね。(ロード・オブ・ザ・リングファンの皆様、まことに失礼しました。)
 そんな中出てくるのは、ひときわ大きい黄金竜のミルガズィアさん。出てきた瞬間思ったのが「声、高っ!」。なんか歳を感じさせない声の高さと、それからしわが少ない顔、そして何やら雰囲気ある言葉をいう姿。…リアル・タイムで観てた中学の頃、この姿にやられたんですよ。本当に。だって、設定20代とは思えない陰陽としわの付いたガーヴより、ミルさんの方が若いって思ってましたもん。…くっそー、原作2部で再登場してきた時には嬉しかったけど、まさかギャグが氷点下だとは思わなかったなぁ。この頃のミルさんの姿はどうしたんだってな具合に萎えていくのを感じました。…それでも好きだけど、もうギャグキャラだよ、ミルさん。

 しかし、腐ってもドラゴンロード。っていうか本当にこの頃はカッコいいんですって、ミルガズィアさん。ゼロスとの因縁の再会にも、どこか諦めたような大人な雰囲気が漂います。…でもよく聞くと同じくオヤジギャグのガウリイを笑ったりしてます。…くっ、この頃からそんな気配が出ていたとは…。
 そうなんです、今回ガウリイはビミョーにはしゃぎ気味。

ガウリイ「どっしぇー!ドラゴンが口を聞いたぞ!」(えくすとらで白竜のリオルに会ったじゃん)
ミルさん「ほう?ドラゴンが口を利くのが珍しいのか。」
ガウリイ「このオッサンに頼んで、お目当てのものまで案内してもらおーぜ。」
ミルさん「おっさん?」
ガウリイ「ゼロス、お前むちゃくちゃジジイだったんだな。」
ミルさん「ふん。ハハハハ。本当に面白い人間たちだな。」

 なんなんだ、このガウリイとミルガズィアの雰囲気は…。ここに至るまで、リナとしては話しかけられない雰囲気だったはずなんだが、ガウリイとミルさんはなんだか和やかだぞ。う〜む、ギャグが寒い同士(ガウリイはアニメ版にて)合い通じるものがあったのか。…考えすぎか?

ミルさん「自らの目で真実を見極め、自らの信じた道を進むがいい。おのずと結果は見えてくる、娘よ。」

 そう、その信じた道がまさか最悪になるとも知らず、力いっぱい答えるリナはなんだか悲しい。全てが策謀だとわかる部分は、アニメではあんまり強調されていませんが、原作を知っている私には自分の力でこのクレアバイブルに行き着いたリナが、なんだか悲しいです。ゼロスが導いたのではなく、アクアという水竜王に導かれて来たから。
 それすら、ゼロスやフィブリゾの誘導であったことのちにリナは知ることになります。

 運命というと言い過ぎかもしれませんが、どんな状況に巻き込まれていても、ちゃんと翻弄されまいと自分で歩くリナは、原作・アニメを問わず強く存在しています。細部が変わっても(例えば凶暴化したり、短気すぎたりしても)根本的な面は変わらないんですね。変わったら困りますが、でもここらへんはメディアが違うだけで本当に難しくなる面だと思います。
 ゼロスに案内させるのではなく、アクア婆さんに導かれたこのアニメ独自の設定が、どんな理由かはわかりませんが、私はここで、「自分の力で水竜王(クレア・バイブル)に許可をもらって、自分で来た」というリナの力強さを感じます。
 それが「踊らされているとわかっていても、このまま踊っているだけじゃない」という原作の重要な台詞と、同じ効果をもたらしていると思うんですよね。

ミルさん「時に人間の娘よ。お前たちは、ゼロスが魔族と知り、何らかの策謀があることを知りながら、何故、奴と行動を共にしておる?」
リナ「それは、今のところそれに従うしか、あたしの生きる術がないからです。もちろん、ヘルマスターの考えていることが『世界平和』なんてことじゃない以上、あたしを殺そうとしている連中の言い分の方が正しいのかもしれない…。けど、理由もわからないまま、大人しく殺されるほど、悟った人間じゃありませんから。あたしは……。」
ミルさん「生きているものが、生き続けようとすること―それは当然の理だ。何も恥じる必要はない。」

 この台詞は原作と同じなんです。でも、『踊る』候の台詞は一言も言わないんですよ。リナ。「踊る」は原作7,8のキーワードだと思うのにですよ?ゼロスに写本神殿に案内されたとしても、アクアと会うのはゼロスにも予定外のこと。そして、ゼロスは一言も本来の目的である「真のクレアバイブルの場所」を言わぬまま、リナはここに来ます。
 リナが自分の力で来た、というのを強く感じるんですよね。…それすら、ヘルマスターには予定のことだったとは思いもせず。

 省いたのか、偶然できちゃったものなのか、それとも単に私がアニメを買いかぶってるだけなのか(その可能性が高いなぁ)わかりませんが、ともかくいいんですよね。このリナの力強さ。リナの根本にあるものが、表現の違いはあれども、ちゃんとアニメでも伝わってきて嬉しいです。でも、同時にそれらすべてが策動だということを知った時のリナの気持ちを考えると、とても悲しい台詞です。
 それが、わかるのは、次の次ですね。
 
 さて、そんなこんなでクレアバイブルに入っていくリナ。そして、セイグラムとの決着に真のラグナブレードを放ちます。だけど、ここでアメリアがっ、アメリアがぁ!という展開。…続きます。



一覧 / 検索  
PaintBBS Java like a children's Homepage DynamicPalette WonderCatStudio DiaryCGI nicky!